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不正に関する記事

社内の不正はこうして起こる(社内不正防止)

2025/7/27
田原 靖弘
4 min read

💡 この記事の要点 (Key Takeaways)

社内不正は「機会・動機・正当化」の3要素が揃った時に発生します。犯人は「悪い人」ではなく、「魔が差した普通の人」です。元刑事が教える、権限分散と相互牽制(ダブルチェック)による「機会」の排除と、社員を守るための予防法務的組織づくりを解説します。

私が取調室で向き合った横領犯の多くは、特別な『悪人』ではありません。

勤続10年のベテラン経理担当者、誰からも好かれる営業マン、社長の右腕とまで言われた役員…。彼らは皆、どこにでもいる普通の人間でした。しかし、「機会」「動機」「正当化」という3つのピースが揃ったとき、彼らは一線を越えたのです。事件は起きてからでは遅い。私が現場で見てきた「犯行の予兆」と共に、そのメカニズムと対策を解説します。

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【機会】の鉄則

犯行の芽は「聖域」と「小さな違和感」に潜む

「あの人に任せておけば大丈夫」。その絶対的な信頼が、皮肉にも不正の温床となります。経理、在庫管理、システム…。特定の担当者しか触れない「聖域」が生まれていませんか?私が捜査した事件では、不自然な休日出勤、自分の業務範囲を他人に教えたがらない、PC画面を隠すといった「小さな違和感」が、犯行のサインでした。

刑事の視点:仕組みで「機会」を奪う

「聖域」を作るな、権限は分散せよ:担当者と承認者を分け、定期的なジョブローテーションで業務のブラックボックス化を防ぐ。
抜き打ちで「現物確認」せよ:帳簿上の数字だけでなく、現金、在庫、備品などを抜き打ちで現物確認する。それだけで強力な牽制になる。
証跡を残させよ:誰が、いつ、何をしたか。システムのアクセスログや入退室記録など、客観的な証跡を確実に残す仕組みを導入する。
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【動機】の鉄則

「生活の変化」がプレッシャーのサイン

犯人の動機は、帳簿には書かれていません。それは、彼らの生活の中に現れます。急に羽振りが良くなる、逆に金の無心をするようになる、離婚や家族の病気で大きな支出を抱える…。こうした「生活の急変」が、普段は真面目な従業員を追い詰め、「会社のお金なら何とかなる」という思考に走らせるのです。

刑事の視点:「動機」の芽を摘む

「金の切れ目が縁の切れ目」を意識せよ:従業員の貸し借りには毅然と対応し、安易な金銭援助は共倒れのリスクがあると心得る。
「聞き役」に徹する場を設けよ:1on1ミーティングなどで、業務の話だけでなくプライベートな悩みも吐き出せる関係性を築き、孤立を防ぐ。
専門家への橋渡しをせよ:多重債務などの問題は、会社が抱え込まず、弁護士やカウンセラーなど外部の専門家へ繋ぐルートを確保しておく。
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【正当化】の鉄則

犯人は皆、自分を「被害者」だと思っている

「これだけ会社に尽くしたのに、給料が安すぎる」「社長の経営ミスをカバーするためだった」「借りただけで、返すつもりだった」。取調室で彼らが語るのは、反省の弁ではなく、自分がいかに不当な扱いを受けてきたかという「被害者意識」です。この自己正当化こそが、罪悪感を麻痺させ、犯行をエスカレートさせるのです。

刑事の視点:「正当化」の余地をなくす

「信賞必罰」を徹底せよ:貢献には正当な評価と報酬で応え、不正には懲戒解雇を含む断固たる処分を下す。その姿勢が「言い訳」を許さない。
経営理念を「共通言語」にせよ:何が正しく、何が間違っているのか。判断の拠り所となる理念や行動指針を、ただ掲げるだけでなく、日々の業務の中で繰り返し語り続ける。
「一罰百戒」の効果を理解せよ:小さな不正であっても、見て見ぬふりをしない。一つの不正を厳正に処分することが、他の百人の従業員への何よりのメッセージとなる。

私が刑事として見てきたのは、事件後の「取り返しのつかない後悔」です

失われた金、壊れた信頼関係、そして従業員の未来。事件が起きてからでは、何も元には戻りません。行政書士として、経営者として、私がお手伝いできるのは、その後悔を未然に防ぐことだけです。貴社の「事件ゼロ経営」へ、全力で伴走します。

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